The previous night of the world revolution4~I.D.~
ルレイアが正気に戻ったのは、それから15分ほどたった頃だった。

俺にはこの15分が、永遠のように長く感じられた。

「はぁ…はぁ…。ルルシー…」

ようやく呼吸が整ってきたのか、ルレイアの目の焦点が定まってきた。

「ルレイア…大丈夫…か?」

「えぇ…はい…。大丈夫…です…」

息はまだ荒いが、しかし、問いかけに答えられるほどには回復したようだ。

そこはひとまず安心したものの、完全回復には程遠い。

事実、ルレイアは俺の腕の中にいるのに、そのことにはまるで反応しなかった。

いつもなら、涎を垂らさんばかりに大喜びするところだ。

それなのに今は、苦しそうな表情を隠すだけで精一杯のようだった。

いつもは鬱陶しいとばかりに適当にあしらっていたが、今だけは、あのやり取りが恋しかった。

それどころか。

「ルルシー…」

「何だ?」

「済みません…ちょっと、手…握ってもらえますか…?」

ルレイアが俺にスキンシップを求めてくるのは、珍しいことではない。

と言うか、いつもはべたべたと理由をつけては触ってこようとする。

アリューシャじゃないが、それがルレイアの日常だった。

だが今のこれは、いつもの浮わついたものではない。

ルレイアは青ざめた顔をしているし、しかもルレイアが伸ばした手は、細かく震えていた。

俺は、その手を包み込むように握り締めた。

「手くらい、いくらでも握ってやる。だから、ルレイア…」

「大丈夫…大丈夫ですよ。ちょっと…嫌な夢を見ただけで…」

「…嫌な夢?」

「えぇ…昔の…ルシファーだった頃の…」

「…!」

ルレイアが何を言おうとしているのか、聞くまでもなかった。
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