The previous night of the world revolution4~I.D.~
「ところでルルシー先輩、実は今、困っていることがあるんだが」

「あ?お前が?何?」

「さっきまで、またカジノで暴れていたんだがな、俺がイカサマしたと難癖をつけられてしまって…。シェルドニア人の客が怒髪天突いて怒っててな?ちょっと説得するのに協力してくれ」

「はぁぁ…!?」

その時点で、俺はすぐピンと来たのだが。

敢えて何も言わなかった。

ルリシヤの気遣いを、無下にはしたくなかった。

「知らねぇよ、お前がイカサマするからだろ」

「俺はイカサマなんてしてないぞ、失礼だなルルシー先輩。ちゃんと素の実力で勝ってる」

「それに、俺はシェルドニア語が分からないんだ。説得のしようもないだろ」

「大丈夫。『ワタシシェルドニア語わかりましぇーん』で押し切るから」

「変なことに俺を利用すんな!それから、俺はルレイアの傍に…」

全くもう、ルルシーったら。

ルリシヤが折角、ルルシーの百倍は上手な嘘をついているんだからさ。

ちゃんと合わせてあげなきゃ。

「俺は大丈夫ですよ、ルルシー。ちょっとルリシヤを助けに行ってあげてくださいよ」

「でも…!ルレイア」

「平気です。勝手にうろついたりもしませんから。行ってきてください」

「…分かった。行ってくるよ…。すぐ戻ってくるから」

「はい。行ってらっしゃい」

ルルシーは溜め息をついて、ルリシヤについていった。

そのルリシヤは、くるりと俺に振り向いて、

「済まないな、ルレイア先輩。ルルシー先輩借りるぞ」

「ちゃんと返してくださいね」

「勿論だ」

仮面越しだから、相変わらず表情は分かりづらいが。

さすが、俺の見込んだ後輩である。
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