The previous night of the world revolution4~I.D.~
ルームサービスでサンドイッチを頼み、約束通りあーんしてもらった後。

俺はその日、客室でまったりと過ごすことにした。

今日は元々、観光地の港に停泊予定だったのだが。

何でも今日は、その港の付近が大荒れで、停泊出来ないそうで。

停泊は、翌日以降に延期になった。

今日は陸の上を歩けると思ったのに、残念である。

まぁ、いずれにしても体調が優れないので、客室から動かなかっただろうが。

たまには部屋でまったり過ごすのも良いだろう。

そう思って、俺はのんびりとテレビを眺めたり、寝そべって雑誌を読んだりしていたのだが。

「…大丈夫か?ルレイア」

「平気ですって」

10分おきに、ルルシーが声をかけてくる。

ルルシーの心配性も、ここまでくると重症だ。

昨日の俺は、余程酷かったのだろう。

「もールルシーったら、いくらなんでも心配性過ぎますよ」

「お前が心配をかけるからだろ。良いから大人しくしてろ。眠くないのか?」

そりゃ昨日、ほとんど寝てないから…眠いけど。

「お昼寝しちゃうと、余計に夜眠れなくなりそうですし…。夜まで我慢しますよ」

「…無理するなよ」

「ルルシーこそ、昨晩は俺に付き合って、ほとんど寝てないでしょう。膝枕してあげましょうか?安眠出来ると評判ですよ」

「結構だ」

いけじゅ。

この俺が膝枕なんて、滅多にすることではないぞ?

すると。

「やぁ先輩方。悪いな、いちゃついてるところ」

「あ、ルリシヤ」

「別にいちゃついてないから、普通に入ってきてくれて良いぞ」

いやいや、めちゃくちゃいちゃついてたから。

しかし、ルリシヤに会うのは…昨日ぶりか。

そういえば昨夜、ルリシヤの姿も見た…ような。

声もかけてくれたような気がするが、正直あまり覚えていない。

ルルシーの腕に抱かれていたことは、よく覚えている。

「ルレイア先輩、具合はどうだ?」

と、聞いてくるということは。

俺が記憶にないだけで、やっぱりルリシヤもいたんだな。

「もう平気ですよ。ルルシーがあーんしてご飯食べさせてくれましたし」

「そうか、それは何よりだ。全く心配したぞ」

「済みません、ルリシヤ。心配かけましたね」

「あぁ。気にしないでくれ」

と、言ったきり、ルリシヤはそれ以上何も聞かなかった。

昨晩ルリシヤもこちらの部屋にいたのなら、俺がアホみたいに震えながら、夢の話を…過去の話をしていたのを、少なからず聞いたはず。

それなのに、ルリシヤは何も聞かないでいてくれた。

その気遣いが、大変有り難かった。

ルリシヤのような後輩は、なかなか得られるものではない。
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