The previous night of the world revolution4~I.D.~
「ルルシー、あなた今…おかしな夢見てましたよね?めちゃくちゃ顔色悪いですよ」

「…お前ほどじゃない」

ルルシーは、苦し紛れにそう言ったが。

「程度の差なんてどうでも良いんです。悪夢を見たことが問題なんですよ…。…昔の夢、見たんですね?」

「…あぁ、見た…。『青薔薇連合会』に入る前の夢だ」

成程。

ルルシーにとってその記憶は、俺にとってルシファーであったときの記憶と同じだ。

思い出したくもない、地獄のような記憶。

その夢を、ルルシーも見た。

そして、俺も。

やはり…これは。

「…!そうだ、ルリシヤは」

悪夢のせいで、顔をしかめていたルルシーが、いきなりハッとした。

ルリシヤだと?

「…ルリシヤも、悪夢を見てるんですか?」

「…分からない」

ルルシーったら、相変わらず嘘をつくのが下手くそ。

やっぱり昨日、ルリシヤがカジノ云々言ってルルシーを連れ出したのは、その為なんだな?

「ルリシヤのところに行きましょう。彼も悪夢にうなされているのなら…」

「あぁ」

…すぐに、起こしてあげなくては。

俺達は寝間着姿のまま、隣室のルリシヤのもとを訪ねた。

彼が一昨日の俺みたいに、悪夢にうなされて苦しんでいたら大変だと思ったが。

幸いなことに、ルリシヤは既に目を覚ましていた。

「…うん?どうした、先輩方…。夜這いには既に遅い時間だぞ」

ばっちりと仮面をつけて、顔色も…仮面でよく分からないが、悪くはなさそうだ。

「ルリシヤ…。昨日は大丈夫だったのか?」

と、ルルシー。

昨日はってことは、やっぱり一昨日も見てたんだな。

二人して俺に内緒にしてたな?全くもう。

「うん、もうルレイア先輩も分かってると思うから、正直に言うが…昨日も見たぞ」

「…!大丈夫か」

「あぁ。二晩連続でグリーシュの死体と対面してしまった。大丈夫だが、まぁ…あまり気分が良い訳ではないな」

グリーシュの死体って。それ最悪じゃないか。

ルリシヤがそんな夢を見ていたなんて。聞いてないぞ。

「先輩方は?昨日の夢はどうだった?」

「…お察しの通りですよ。俺も、ルルシーも」

「そうか」

…ということは。

三人が揃って、二日連続で…昔の夢を見ていたってことだな。

さてさて、この奇々怪々な事象は、どうしたものだろうか…。
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