嘘八百

 本来、こんな下界で合コンだ経理の紙っぺら一枚に云々言っているような人間じゃない。そもそも、どうして一般企業に入社したのかも知らない。

 しかしまあ、雪と玲香が出会ったのも何かの運命。

「玲香のお嬢ネットワークにいなかったの」
「ねー、まじの箱入り息子なんじゃないかな。それか妾の子」
「金持ちも大変だなあ」

 夫々に各々事情があるのだろうが、雪は自分を棚にあげて言った。

「隠されてきたなら、尚更ね」

 玲香は呟く。

「どういうこと?」
「世間から見られなかったってことはさ、自分も世間を見せてもらえなかったんじゃないかなって」

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