初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~

「それは麻里亜のお気に入りの絵本だね」

「ふふ、今、麻彩(まあや)に初めて読んであげてたの」

「そっか。もうそろそろお話の意味もわかる様になってきたもんな」

「このお話は少し難しい言葉も多いけどね」


お風呂から戻ってきた真宙が麻彩を抱きあげて問う。

「麻彩、そのお話、面白かったか?」

「うん、ママのえほん、おもしろかったの!あのね、パパ、おうじさまがマーリィをたすけたんだよ!あのね、マーリィとおうじさま、けっこんしたの!あのね、〝はくばのきし〞のひとは、となりのくにの、おうじさまなんだよ!あっ!あのね、まじょがたべられちゃったの!」

パパっ子の麻彩は、覚えたての「あのね」を多用しながら一生懸命お話を真宙に伝えている。


「へぇ、白馬の騎士は王子様だったのか。どうやって魔女をやっつけたの?」

「うんとね…わかんないけど……けんがひかってまほうでやっつけたの!」

「そっか、それはすごいね」

「うん!すごいの!おうじさま、かっこいいんだよ!」

「へぇ。じゃあパパと王子様、どっちがカッコいい?」

「うんとね……パパ!」

「そっかー!パパかー!嬉しいなー!」

ふふ、真宙も麻彩にデレデレなんだよね。


「ほらほら、パパはちゃんと髪を乾かしてね。麻彩はおやすみする時間だよ」

「はーい。じゃあパパはドライヤーしてきまーす」

そう言うと真宙はすんなりと子供部屋を出ていった。

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