初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~

「やだ、もっとえほん、みるの」

「じゃあ、ちゃんとおやすみしたら、明日はこっちの絵本を読んであげようかな。…ジャーン!」

と、私は本棚から真新しい一冊の絵本を取り出した。

「…それ、なあに?」

「マーリィと王子様の続きの絵本よ」

「ほんとー!みたーい!」

「ふふ、でしょう?じゃあ、今日はちゃんとおやすみしようね」

「うん!まあや、いいこでねんねするから、ぜったいによんでね!」

「うん、絶対に読んであげる」

「ママ……まあやがねんねしてるときに、まじょ、こないよね…?」

「ふふ、もし魔女が来ても大丈夫よ」

「……どうして?」

「だって、このおうちには、強くてカッコいい白馬の騎士がいるでしょう?」

「……?……パパのこと?」

「ふふ、そうよ。だから何があってもパパが助けてくれるから、安心しておやすみなさい」

「…うん、わかった!パパがいるからだいじょうぶだね!ママ、おやすみなさい!」

「はい、おやすみ」

ぎゅっと目をつぶる麻彩に笑顔で返し、私は子供部屋の照明を落とし、ドアを静かに閉めた。

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