初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
夏の平日だから、春や秋のピーク期よりは観光客も少ないであろうとは思うが、それでも賑わう人混みの喧騒から少し落ち着きたくて、目に入った細い路地を抜けると少し開けた場所に出た。


そして、目についた木製のベンチに座ると、自販機で買ったばかりの冷えた麦茶を身体が欲するままに飲んだ。


「はぁー……」

喉を冷たい麦茶が通り抜けると、自然と息が漏れた。

あー…身体の中から涼んでいく感覚が気持ちいい…

その何とも言えない高揚感に誘われるように、ふと空を見上げた。


…澄んだ青空がきれい…

また麦茶を一口飲み、はぁー…と息を吐きながら空を見渡すと。

「あっ!」

それほど多くはない雲のひとつが虹色に輝いていた。


彩雲だ!

あれから見ることもなかった彩雲が、京都で見られるなんて、すごい偶然…


…高校生の時に徳永くんと見たあの綺麗な彩雲は、未来に希望の持てなかった私に、大きな幸せと喜びをプレゼントしてくれたよね。


そして今見ている彩雲は、あの時よりも色濃く、そしてハッキリと光輝いている。


…こんな惨めな私に、いいことなんて起こるのかな…


でも、期待したくなる。

だって、こんなに素晴らしい彩雲なんだもの。

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