初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
「それじゃ話が違うじゃないか!」

そう平久保社長は声を荒らげたが、何か思い付いたのかその数秒後、お父さんに向かって悪代官さながらの悪い顔を見せた。

そして、テーブルの上にマイクを雑に置くと、役員席にしか届かない位の声で言った。

「あなたがそのつもりなら…あの事をここで公表してもいいんですよ?栗原さん?」


それは脅しの様に聞こえたのだが、お父さんは顔色一つ変えずに立ち上ると、マイクを通して話し出した。

「それでしたら私からお話ししましょう。…まずはこちらをお返しします」

そう言うと、ガムテープで頑丈に封がなされた厚みのある紙袋を、平久保社長の席のテーブルに置いた。


「あなたが昔『一千万入っている、受け取れ』と言って私に押し付けた物です。ただ私は一切開けていないので、その中身が本当に現金なのかはわかりませんが」

「なっ…!」

平久保社長がその袋を乱暴に破いて開けると、札束がドサドサとテーブルと床に落ちた。

「ッ……じゃあ女はどうした!俺があてがってやったあの女は!」

「彼女ですか。…いいでしょう、お呼びしますよ。…ミノリさん、こちらへ」


そう呼ばれて、ステージに上がったのはスーツ姿の一人の男性。


「彼女って…彼は湯島くんじゃないの」
「ミノリさん?実くんじゃなくて?」


それはお母さんと私はもちろん、役員、秘書課の皆は当然知っている人で、お父さんは隣に来た彼をこう紹介した。


「現在、私の第二秘書を務めてくれている、湯島 実(ゆしま みのる)君です」

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