私の家発、異世界行き!
仕事
「八。こいつの面倒見てやってくれ。」
「かしこまりました。」
「馨さん、でしたよね?」
「はい!そうです!」
「ではこの袋を差し上げます。これは香り袋で、人間の匂いを誤魔化したり、貴方を見透かす何らかの妖術などをブロックします。外に出る時は必ず身につけて下さい。付けないと食べられます。」
「はい!身に付けます、、!」
「そして変装もするんですが、、まだ仕事内容を教えられてないのでちょっと待ってて下さい。」
「わかりました!」
変装、、スパイみたいな事するのかな、、
「元さん。今回の仕事内容は何ですか?」
「ああ。朔!今から説明するぞ〜来ーい」
「はーい!」
ガラガラガラ
あっ、ホワイトボード出てきた
本格的、、
「はい、今回の依頼は馨も居るし浮気調査な。浮気調査ならまずまずだろ。大手企業のツツジ社の社長からの依頼だ。」
「依頼者は男性で奥さんの浮気を疑ってる。その奥さんが中々プレイガールらしく社内で男をナンパしたりなんだりだそうだ。」
元さんがホワイトボードに関係図を書きつつ淡々と話していく。
浮気調査、、私やってもいいのかな?
「だが離婚したい訳じゃなく愛を確かめたいとかなんとか言ってたんで〜ハニトラだな〜多分」
「その奥さんの好みは把握してるんですか?」
「あ、忘れた。」
「はぁ、、そこを忘れたら元も子もないでしょう。私が事前に聞いときました。」
「おお〜流石八。」
「はぁ、、はい、調査対象の好みはこう言う人達の様です。」
八さんがホワイトボードに写真を貼る。
「あー!ドラマの人間ぽい人!」
八さんが貼り付けた写真の男性は人間にしか見えない、流行りの塩顔でアイドルのような顔立ちの美男子だった。
確かにかっこいいけど朔さんと八さんの2人を見た後だと驚きが薄れる、、
「そうです。最近流行しているドラマ、あ〜何でしたか、、桜の、、恋みたいな、、」
「さくこい!桜色の恋!俺あれハマってるんだよね〜めっちゃキュンキュンするの!」
「あーそれです。そのドラマに出演している雪原夏也、韓流スターのチョ・ソンハンなどが好きな様で、試写会やファンミーティングなどのイベントへ必ず参加しているようです。」
「ふぅーん。最近はこんな奴が流行りなのか?俺の方がかっこいいんじゃないか?」
「うるさいですよ。」
「塩顔系の変装薬ってまだあったっけ?」
薬で変装するんだ、、!
「はい。最後の1本があります。体格的に朔が適任でしょう。かけますよ。」
八が薬の入った瓶の蓋を開け、朔にかけようとする。
「俺もイケメンなりたい〜」
「ダメです貴重なんですから」
「ちょっとだけ、、!」
「ダメです。」
「じゃあ奪ってやらぁ!」
「あっ!」
「よし取った!あっー!」
元さんの手から薬の瓶がツルリとすり抜け私の方へ飛んでくる。
「えっ?」
「馨さん!避けて!」
瓶当たったら痛そう、、
受け止めれるかな、、!
「オラァ!」
パリンッ!
元さんが助けようとしてくれたのか、瓶へ見事なキックを見せる。
瓶が割れて私に薬が降り注ぐ。
「ゴホッゴホッエホッ」
「エホッ、、大丈夫ですか?!瓶が、、!」
「あ、あー俺は大丈夫だが、、」
「元さん、、どうするんですか?!最後の1つだったんですよ?!」
「あーすまんすまん、、」
「馨さん、大丈夫ですか?」
「は、はい、、怪我とかは無いです!ってあれ?!声が、、!」
「変装薬がかかりましたからね、今貴方は男性です。鏡見ますか?」
「はい!」
八さんが渡してくれた小さい手鏡を覗く。
「えぇ?!本当に男子になってる!しかもイケメン、、」
写真で見たような流行りの顔の、街を出たら絶対にスカウトされそうな見た目になっていた。
「うわ、、体もムキムキ、、髪はサラサラだし肌もツヤツヤ、しかも声までかっこいい、、」
「凄いですね!完全に男性です、、!」
「はい。ちなみに変装薬にはかけた量によって期限があり、貴方は丸々被ったので2日から3日ですね。」
「そんなに長いんですか、、依頼の件どうしますか、、?」
「あ〜お、俺作ろうか、、」
「この薬は私が調合したんですから作れないでしょう!材料もまた買いに行かないと行けないし1日じゃ作れないんですよ!!」
「すまなかった、、」
「仕方ない、、馨さん。」
「はい?」
「仕方ないので貴方にハニートラップを仕掛けてもらいます。」
「えぇ?!私、そんな事出来るかどうか、、!」
「仕方ありません。相手は大企業の社長様ですし、それに女性の方が女心を良く分かっているのでは?」
「確かに、、」
「お、良かった良かった丸く収まったか?」
「元はと言えば元さんのせいですよね?」
「そうです、、」
「私達は着替えたり打ち合わせして行きます。貴方は煙草でも吸っててください。」
「おう、、じゃ、頑張ってな!」
元さんは待機なのか、、
「朔、貴方は裏方に回って下さい。複数人浮気相手が居るそうなので。」
「はーい!ハニトラ出来ると思ったのにな〜」
「馨さん、お疲れの所申し訳ないのですが今から仕事です。時間が無いので着替えながら話しましょう。」
「はい!」