色褪せて、着色して。~リリアン編~
 言い訳になってしまうけど。
 本当に、ここのところ。立て続けに色んなことが起きたせいで。
 トペニのことを忘れていた。

 一週間ほど、預かってほしいとサンゴさんには言った。
 けど、あれからどれくらい経ったっけ?

 馬車で、サンゴさんの家に向かうと。
 音で気づいたのか、玄関前でカイくんが出迎えてくれた。
 カイくんは、耳は聞こえるけど。喋れない男の子で。
 いつも、スケッチブックを持ち歩いて。相手とコミュニケーションを取ってくれる。

 バニラには留守番してもらおうと思ったけど。
 いつかは、バレる。
 結局、ついてきてもらった。

 囲炉裏のある居間に案内されると。
 サンゴさんが「よくきたな」と言ってこっちを見た。
 サンゴさんは読書中だったのか、本を置いた。
「ごめんなさい。サンゴさん」
 開口一番、私は勢いよく謝った。
 後ろに立っているバニラは何のことだと思っているに違いない。

「おう…、ま。座れ。あいつは、ちょうどお使い頼んでいねえから。今のうちに話しておこう」
 カイくんがバタバタと走って。座布団を用意してくれた。
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