No Title




「イチゴ好きなん?」

「果物のいちごが好き。いちご味の飴は好きじゃないけど、このイチゴとプレーンのクッキーは好き」

「このピンクのは?」

「イチゴチョコみたいなやつ」

「飴はなに味」

「たぶん、オレンジとかパイナップルとかレモン」

「ふぅん」



菊池蒼伊はポーチからクッキーとオレンジの飴を取り出して私に返した。
わたしもクッキーを取り出す。


「おなかすいてるの?」

「そう。部活終わりにラーメン行くって決まったら腹減った」

「なにそれ」

「なんかラーメンとか聞くと腹余計にすかね?」

「あー、なるほど。確かにわかる」

「ミサキってラーメンとか食うの」

「うーん、食べるけど涼子とくらいしか行かないかも」

「工藤?」

「うん、涼子のバイト終わりにたまに呼ばれたりするかも」

「あー、剛もよく呼び出されてる」

「夜遅くなると、わたし誘うの申し訳なくなるんだって。だから、うちに泊まりにきたりもする」

「仲いいんだな」

「うん、高校ではダントツかも」



涼子のバイトは九時までのことが多い。
その後に呼び出すと、お母さんが心配するでしょって涼子は言うけれど、お母さんに涼子って言えば全然送り出してくれる。

もちろん、夜遅くは危ないんだからねって迎えに来てくれちゃうけど。涼子も危ないから、家まで送って。


剛くんは、涼子のことちゃんと家まで送ってくれるし、安心。
いつでも呼び出して!って自ら言ってくるんだからと言っていたし、剛くんは結構涼子のことが好きなんだと思う。

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