No Title
「剛くんが一番仲いいの?」
「俺?」
「うん」
「まあ、アイツは中学から一緒だから」
「そっか、いいね」
「うるせーけど」
「ひどい」
並んで他愛のない話をしながらお菓子を食べるなんて、女友達みたいな子としてるのがおかしくて、なんか笑ってしまう。
菊池蒼伊は、そんなわたしに「なんだよ」とむすっとしている。
先ほどの立場が変わったようで、わたしも蒼伊をいじることを覚えたのかもしれない。
「剛と似てるとこある」
「わたし?」
「毎日楽しそうだよ」
「え、そう?」
「ずっとへらへらしてる」
「それって、褒められてる?」
「さあ」
「能天気女ってこと?」
「アホ、被害妄想すんな」
「アホって言われた、バカじゃん」
「アホにバカって返すの、幼稚園生くらいじゃね?」
「ちょっと!」
おもわず近くにある肩をぱしっとをはたけば、楽しそうに笑って逃げる人。
楽しそうなのはどっちよ、そんな笑えるなら教室でもニコニコすればいいのに。
わたしは、教室では目があっても逸らしてくることを思い出した。
ふたりでいれば、こんなに楽しそうにするくせに。
周りに関わってるのがばれたくないのかもしれないけど。それならそうって、言ってくれればいいし。
「ねえ、なんで教室でぷいってすんの」
「は?」
「目合ったとき、知らん顔された」
絶対目が合ったのに、あからさまにそらされるとムカつく。
あと、ちょっとだけ寂しい。