獅子の皮を被った子猫の逃走劇


 ガタンゴトン、ガタンゴトン。

 私は湿気のせいでうねる髪先を弄りながら、電車に揺られていた。

 ……やっぱり髪結んでくれば良かったかー。

 普段、男装のためにウィッグを被っているため、下を向いた時に横にかかる髪に変な感じがする。

 それと、少しでも憂鬱気分を消し去ろうと履いてきたスカート。

なんだか落ち着かなくてソワソワ。


 「次はーー駅、ーー駅」


 そうこうしている内に、目的の駅をアナウンスされたため、人の流れに乗じて降りた。

 電車内にいた乗客の3分の2程も一緒に。

 それもそのはず。

 この駅周辺には、大型ショッピングモールやら何やらが集まっているため、今日のような休みの日には人が混雑するのだ。

 かく言う私も、中学の頃にはよく友達と遊びに来ていた。


 誰かと会っちゃったらやだなー、なんて思いながら傘をさして歩き出す私。


 「わお……」


 早速フラグ回収しちゃいました。

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