アオハル・サーキュレーター
「それで、どうだったの?」
「ああ、うん。まあ、なんとか方向性は決まって、あとは稽古で変えていこうって感じかな」
「へえ、よかったじゃん」
「よかったのかねえ……」
とため息交じりに答えて、冷蔵庫から発泡酒を1本、手に取ってプシュッとやる。
「納得いかないって感じだね」
「そういう感じ。俺、稽古場とかに顔出すような脚本家って嫌いなんだ」
「でも、普通気にならない? 自分の書いたものを他の誰かに読まれるのって。この人はこのセリフをどう捉えたのかなとかさ」
「別に。小劇団だし。大半が日中に仕事してたり、主婦してたり、片手間にやってるようなもんなんだよ」
「そういう世界なんだね」