アオハル・サーキュレーター
再び目を覚ますと、少しだけ頭痛や吐き気はマシになっていた。
目を擦ろうとするも、両手は相変わらず動かない。
というか、縛られている。
いや、ここはどこだ? 見たところ煤汚れた廃ビルの1室のように見える。窓ガラスは割れ、外は雨が降っているようだった。
なぜこうなった? 思い出そうとすると、つつっ! 頭が痛い。
横になった身体を起こそうと肩に力を入れる。両足も縛られていて、でも辛うじて動かせる可動域を駆使して、何とか体操座りのような体勢になる。
昨日、あの後何があったのか。
たしか、あの後マッサージを頼んで、それから…ああ、ダメだ。それ以降の記憶がすっかり飛んでしまっている。
呼気が酒臭い。そうだ。かなり飲んだのだ。
でも、どこで? マッサージが終わった後、たしかオールバックの男の従業員に、ビールを注文した。
そこで何本飲んだ? 何本……いや、覚えている。1本。たった1本だ。
それなのに、この二日酔いのような感覚。おかしい。どうもおかしいのだ。どっちかというと俺は酒が飲める方だ。たったビール1本なんかで酔うなんて、ありえない。
ありえない。