【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
妖精姫は、獣人王子のつがいになる
夜会の場で祖国ホロウードと決別し、サラハが捕らえられた。
あれ以降ヴァルラムからは何も言ってこないし、ホロウードとアルデイルの鉱石の輸出入に関する取り決めも破棄された。
彼がホロウード行きの船に乗るところまで見送った騎士団長は、ヴァルラムが二度とこの国には来ないと涙目で吐き捨てていたと笑った。
実はかなり細身でひ弱なヴァルラムは、剣もろくに扱えないほどに運動神経が悪い。筋骨隆々のアルデイルの騎士に囲まれて、さぞ恐ろしかったに違いない。
国交を絶ったことで、アルデイルとホロウードを結ぶ連絡船も廃止となった。もともとほとんど交流のなかった国同士であり、結婚を機に就航した連絡船も月に一度出る程度のものだった。利用者もほとんどいなかったので、これからも両国が交流することはないだろう。
ヴァルラムの政治の手腕だけは、女に溺れて全てを放棄した父親よりも確かだ。彼はきっと、これからもそれなりにホロウード王国を治めていくのだろう。
唯一、ルフィナが祖国に残した気がかりは、母親代わりに育ててくれた乳母のこと。それを知ったカミルは、乳母をアルデイルに呼び寄せてくれた。イライーダの母親でもある彼女は、今は娘と共にルフィナに仕えてくれている。
サラハは、まだ自分はカミルの婚約者だと言い続けているという。現実を受け止めきれず、自分の妄想の世界に閉じこもることにしたのかもしれない。
手紙を白昼堂々運ばせようとしていたことからも、サラハも本気でホロウードに情報を流そうとしていたわけではない。彼女の目的は、ルフィナがアルデイルに反逆の意思を持っていると疑わせることだったのだから。
あれ以降ヴァルラムからは何も言ってこないし、ホロウードとアルデイルの鉱石の輸出入に関する取り決めも破棄された。
彼がホロウード行きの船に乗るところまで見送った騎士団長は、ヴァルラムが二度とこの国には来ないと涙目で吐き捨てていたと笑った。
実はかなり細身でひ弱なヴァルラムは、剣もろくに扱えないほどに運動神経が悪い。筋骨隆々のアルデイルの騎士に囲まれて、さぞ恐ろしかったに違いない。
国交を絶ったことで、アルデイルとホロウードを結ぶ連絡船も廃止となった。もともとほとんど交流のなかった国同士であり、結婚を機に就航した連絡船も月に一度出る程度のものだった。利用者もほとんどいなかったので、これからも両国が交流することはないだろう。
ヴァルラムの政治の手腕だけは、女に溺れて全てを放棄した父親よりも確かだ。彼はきっと、これからもそれなりにホロウード王国を治めていくのだろう。
唯一、ルフィナが祖国に残した気がかりは、母親代わりに育ててくれた乳母のこと。それを知ったカミルは、乳母をアルデイルに呼び寄せてくれた。イライーダの母親でもある彼女は、今は娘と共にルフィナに仕えてくれている。
サラハは、まだ自分はカミルの婚約者だと言い続けているという。現実を受け止めきれず、自分の妄想の世界に閉じこもることにしたのかもしれない。
手紙を白昼堂々運ばせようとしていたことからも、サラハも本気でホロウードに情報を流そうとしていたわけではない。彼女の目的は、ルフィナがアルデイルに反逆の意思を持っていると疑わせることだったのだから。