愛と孤独
運命は突然
6限の授業が終わり、帰りの用意をしていると、クラスメイトの男に手紙を渡された。
この手紙を隣のクラスのリリカに渡して欲しいと言われた。
リリカはセイラの幼なじみで関係は良くないがたまに喋るなかだった。
自分で渡しにいけばいいのに...
セイラは仕方なく手紙を笑顔で受け取った。
とはいえ、リリカは隣のクラスにおらず、校内を探し回る羽目になってしまった。
リリカの所属している弓道部の部室の場所が分からずさ迷っていると、使われていない奥の部屋から声が聞こえた。
好奇心が抑えられず、そのまま近ずいて教室のドアを開けた。
「失礼します...」
ドアを開けた先には、ベットの上にシャツがはだけた男性と、下着姿のリリカの姿があった。
リリカに男性が乗りかかろうとしている体勢だったため、状況は何となくわかった。
リリカと男性はしばらく驚いたようにセイラを見つめた。
沈黙が続く中、リリカが口を開いた。
「誤解よ、セイラ。じゃあ私はもう行くから」
リリカは素早く制服を着て、部屋を出ていった。
セイラは急なことに頭が追いつかず、あたふたとしていると、シャツのはだけた男がため息をついた。
男は焦げ茶色の少し長すぎるぐらいの前髪にキリッとした目、その姿は白馬の王子様だと言っていいほどに美形だった。
「お前はこの部屋に何の用だ?」
セイラは話しかけられ背筋を凍らせる。
でも、怒っているような声色ではなかった。
「ああ、私は通りすがりの者でして、何も見ていません。ご安心を...」
せいらはドアノブに手を掴み、出ていこうとすると、
「待て」
男の低い声に動きが止まった。
はいと返事をすると、男はふっと鼻で笑った。
「同じクラスのセイラ・キューネスか」
同じクラス?言われてみれば確かに見たことがあるような顔だった。名前は確か...
「貴方は、ルカ・ウィスーノ様ですか?」
「ああ、なぜ様付けをする。同じクラスだろう」
「ですが、ルカ様は私とは違う、上級貴族でございます。様付けで呼ばなければ気がすみません...」
ルカ・ウィスーノは有名な上級貴族。皆からは優秀すぎると恐れられている。
まさか、この方と関わることになるだなんて。
「まあいい」
そういった後、ルカはジロジロとセイラの身体を見た。
「...悪くない。さっきの女には逃げられてしまったからな」
ルカはそう言い、立ち上がった。
そしてこちらにゆっくりと歩いてくる。
セイラが1歩下がるとそこはドアで、ドアノブを引こうとすると、その手をルカが抑えた。
力を入れてもビクともしない。
ルカの片方の手が顔に伸びてきて、セイラの頬をそっと掴んだ。
だんだんと近ずいてくる顔に、セイラはいってきの涙を流した。
ルカとセイラの唇が静かに重なった。