凄腕レーサーは中身も最上級〜夢見る乙女を眠らせない〜
なんかラクダに乗って砂漠とか歩きたいんだけど。

いや違う違う。
旅行しに来たんじゃないだろっての。

結局、ホテル周辺の街を探索して大人しくサーキットへ向かった。

真面目に働いて貯金してて良かったわ。
じゃなきゃ来られなかった。

ありがとうございました。
と心の中で退社した会社にお礼を言った。

一日目と二日目は調整みたいなやつで、ひたすら走り込んだりマシンの具合を見たりする。

今シーズン最後のレースともあってなんだかどのチームも殺伐とした雰囲気だ。

私は現地の人に紛れるように、アバヤという身体のラインをカバーする丈の長いアウターと、シェーラという髪を隠す布を巻いている。

せっかくだし?
アブダビ感に浸りたくて。
ははは。
観光客はこうした格好はする義務はないのだけれど。

しかも意外と似合っちゃってる。

これなら絶対にバレないぜ。

そして迎えた三日目。
予選も無事に終わっていよいよ決勝レースが行われる。
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