凄腕レーサーは中身も最上級〜夢見る乙女を眠らせない〜
顔にかかった髪をそっと横に流して、キスがひとつ落とされた。

「俺も。こんなにも愛おしいと思える相手に出会えて、俺は世界一幸せ者だ」

私の目からは堪えきれず涙が溢れる。

「私も。初めてこんなに人を好きになって、私に愛を教えてくれた。伊吹が全部」

伊吹の瞳がグラッと揺れる。

「ああ。一生俺だけ見てろ」

私が静かに頷けば、顔が近付いてきて涙をキスで拭われる。

優しくゆっくりと。

唇から伝わるその温もりが、私を微笑み見つめるその瞳の優しさが、私の心に染み渡るように愛しさで埋め尽くされていく。

こんなにも真っ直ぐに愛を向けてくれる人だったなんて。

出会った頃には分からなかった。

これから先どんな事があっても、私はきっと伊吹といられるなら世界一幸せだと思える。

絶対に離れない。

一生あなただけを愛していくから。




ーENDー
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