凄腕レーサーは中身も最上級〜夢見る乙女を眠らせない〜
にしたって起伏の激しい女だ。

あんなに小柄なのに背負い投げするってどんだけ強ぇんだよ。

まぁ顔立ちも強そうだったしな。
華奢だった。
小さかった。
全部。

最近はでけぇ外人しか相手にしてなかったしな。

風呂から出て、タオルを腰に巻いて冷蔵庫へ向かう。

中からビールを出し一気に流し込んだ。

「ただいま」

「おう。おかえり。車、さんきゅな」

弟の伊慶(いちか)が帰ってきた。

俺の留守中、伊慶にここの管理を頼んでたから。

「ああ、いーよ」

伊慶は薬品会社に勤めていて、俺とは違い絵に描いたような真面目くん。

顔はそこまで似てないけどなかなかイケメンで、なのに分厚いメガネをかけてる。

「イチ、お前このままここ住む?」

「いや、俺実家帰るよ。今日は荷物取りに来ただけだし」

「そっか。こんな時間まで仕事?」

もうすぐ0時だぞ。

「いや、今日は休み。ゲーム仲間とイベント行って飯食ってから試合してた」

「相変わらずだな」
< 38 / 300 >

この作品をシェア

pagetop