凄腕レーサーは中身も最上級〜夢見る乙女を眠らせない〜
「イブもな。元気そうでなにより」

イチはそう言ってフッと笑う。
なかなか良い奴だと思うんだけどなー。
彼女いねぇんだよ。

仕事とゲームばーっか。

ちなみに俺の家族は俺をイブと呼ぶ。
伊慶はイチ。

「今日はこのまま泊まってけば?」

「なんで? なんかあったの? 今日やたら喋るな」

と笑われる。

俺は基本あまり話さない。

言われて気づいた。

「なんもねーよ。ファーストクラスがエコノミーになって、寝てたらCAに熱々のコーヒー溢されて起きて、知らない女に背負い投げされたくらい」

やっぱり今日の俺はよく喋る。

「は? 何それ。最高に面白いじゃん。え? どういう事? 背負い投げ? 柔道でも始めたの?」

イチはそれはおかしそうに笑ってソファに座った。
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