来世にこの希望と深い愛を。
学校の帰りのホームルームが終わり、私はいつも通り親友の望深(のぞみ)と一緒に帰る。

「望深ー、帰ろ」

「はー、やっと終わったー」

望深はだるそうにしながらそう言った。

私達は肩を並べて、のんびりと歩く。

「ねぇ、希愛(のあ)はさ、もし生まれ変わるならなにになりたい?」

望深にそう聞かれた。

「えー、なんだろ。猫とか?」

そんなこと考えたこと無かったから、咄嗟に思い付いたことを言った。ぶっちゃけ人間でもいいけど、やっぱり大変なことが沢山あると思うから、猫にした。

「猫かぁ、もし私も猫になったら、広ーい野原で走り回りたい!」

「うわ、分かるー」

望深は、もし○○だったら、という話をよくしてくる。

もし自分が超能力者だったら、とか、もし一億円があったらなにに使うかとか。考えるのも楽しいし、意見を聞くのも面白い。

「望深は何になりたいの?」

「んー...私は、海月(クラゲ)になりたいかな」

「海月?」

「うん。海月!」

なんで海月なんだろう。単純に、綺麗だからかな。

「まー、海月ってザ・美しい!って感じだもんねー」

「...うん、そうだね!」

私がそう言うと、望深は悲しいような、寂しいような表情で笑っていた。

「...望深、なんかあった?」

親友だから分かる。きっとなにかあったんだって。長年一緒に居るから、落ち込んでるって分かるのは当然。

「ううん。なんもないよ!ていうか、明日の放課後に駅前のパフェ食べに行こ!」

でも、望深はそう言って話を逸らしていた。本当に大丈夫なのかと心配になったけど、無理に聞かれるのも嫌だろうから、私もその話はもうしなかった。
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