さよならの前に抱きしめて
いいなあ。
私の髪も、小鳥遊くんと同じ染めたばかりのミルクティ色。

お気に入りなのに、柔らかくないし…小鳥遊くんは柔らかいに加えて、艶っぽくてサラサラだ。


シャンプーとか何使ってるんだろ。後で教えてもらおうかな。……やっぱり恥ずかしいから、やめとこ。


自分の前髪を人差し指で確かめてみる。指の隙間から溢れる毛先は、柔らかくもなければサラサラでもない。


美容院のお姉さんに教えてもらった、頭皮への負担が少ない上に、髪が艶になる特上シャンプー使ってるんだけどな。


それから、先生の授業なんか一切聞かずに、私の視線はいつまでも小鳥遊くんに向かってる。
何も考えず、ぼーっと眺めていると、ふいに視線がぶつかった。
勢いよくそらして、見てなかったフリで平常心を保つ。


わわっ!小鳥遊くんと目、合っちゃった。
どうしよう。こっそり見てたのバレちゃったよね。


慌ててノートを取るフリをしたけど、筆箱の中を漁っている間に、机の上で休憩してた消しゴムが静かに、ころんと床へ落ちた。
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