さよならの前に抱きしめて

あの消しゴム事件から数分経過。


どうしても、どうしても気になって小鳥遊くんへ視線を、ゆっくり、気づかれないように向けてみる。


落ち着かない様子の私とは反対に、彼は先生の話しや、説明を聞いてノートをずっと取ってる。


切れ長の目が揺れて、サラサラの髪がとっても柔らかそうで、はじめて聞いた声は、私の心を捉えて離さない。


小さな視界に入る小鳥遊くん。小鳥遊くんを見ただけで、胸がドキドキ鳴ってうるさいから視線を外した。


理由はわからないけど、小鳥遊くんが気になるのはどうして?


授業中も、休み時間も私の視線は小鳥遊くんを追ってて。


もし、これがすきって気持ちなら私は恋をしてるのかな?


曖昧で透明だけど…。


外した視線をもう一度向けた時、小鳥遊くんの瞳とぶつかって、交差すると喉がぎゅーぎゅーするし苦しい。



やっぱり恋も『好き』も私にはわかんないや。



落書きばっかりのノートの中に《小鳥遊くん》って小さく、こっそり書いた。
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