御曹司様の一目惚れ人生ゲーム〜私はただ愛されたかっただけ〜花村三姉妹   葉子と仁の物語
私の横に来た仁は(ひざまず)き強く抱きしめてくれる。


「おまえが無事でよかった。川に飛び込まなくてよかった。おまえに何かあったら、俺はどうすればいいんだ? ごめんな、傷つけるために一人にした訳じゃねぇんだ。夜中にアメリカとのミーティングがあったり、ちょうどホテルのナイトシフトにトラブルがあって、目が離せなかった。いいか、よく聞けよ。おまえを愛してる。遊びなんかじゃねぇーよ。俺の一目惚れをなめんじゃねぇーぞ」


抱きしめている片手で、私の頭を撫でてくれる。


仁のこの大きな手が大好き。


仁と私はさらに深く話し合い、お互いに答え合わせをした。仁の生まれてからの人間関係、ナイトシフトの問題、アメリカのスパリゾートホテルのこと、慶智の王子たちの協力で私の所在と妊娠がわかったことも。


これが父さまが言っていた『情報屋の烏丸一族』の力なのか?


そして仁のご両親とおじいちゃままでが花村の実家へ謝罪に行っていたこと。


「どうしよう、仁のおじいちゃまとご両親にも迷惑をかけてしまって。合わせる顔がないよ……」

「じいちゃんとおやじもおふくろも、俺のだらしなかった女性関係のせいだと言っている。身から出た錆だって叱られたよ。土下座してでもおまえに許してもらってこいって。おふくろは、毎週のようにおまえの好きなあんみつを花村のうちに持っていってたよ。これならつわりの時でも食べられるかもしれないって」


えっ、あの『にはし庵』の物、咲子おばさまからだったんだ。


「なぁ、おまえとチビと一緒に家族になりてぇんだよ。おまえたちのことを俺に守らせてくれよ。それとも俺はそんなにおまえにとってストレスになっているのか? 俺がいなくなった方がおまえのためになるのか?」


ふと考えた。このまま一生仁に会えなくなることを。もう私の大好きな大きい手で触れてもらい、安心できなくなることを。あの逞しい腕で彼の胸に閉じ込めてもらえないこと。


……、嫌だ、そんなの嫌だよ。仁と一緒にいさせてよ。


仁といられないことを考えると悲しくなり、また涙腺が弱くなってしまった。


「……ぅ、じ、仁のこと、信じてもいいの?」

「あたりめぇーだ。一緒に東京に戻って、俺のマンションで暮らそう。なぁ、チビのことも教えてくれて」

「う、うん、わかった。赤ちゃんたちは順調に成長してるよ。今5か月で……」

「はあ? ちょ、ちょっと待て。おまえ今、『たち』って言ったか? 赤ちゃんたちって?」

「えっ、知らなかった? 双子だよ」


急にケータイで電話をし始める仁の横顔から、白い歯を見せて満面の笑顔が見える。目尻に皺を作って。


これって喜んでいるんだよね?

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