御曹司様の一目惚れ人生ゲーム〜私はただ愛されたかっただけ〜花村三姉妹   葉子と仁の物語
前日にチェックインをして、車で彼女のアパートと公園の場所を確認した。情報では、朝5時ごろ家を出て、公園着が5時25分となっていた。


明日、この公園には5時半頃着けばいいだろう。





緊張しているのか、その夜は考え事をして、なかなか寝付けずに朝を迎えてしまった。なぜ、俺との結婚を拒むのか?


シャワーを終え、鏡に映る自分に言い聞かせる。


感情的になるな。
大丈夫だ。
彼女は戻ってくる。
必ず俺のところへ戻ってくる。





港が見える公園の駐車場に車を止め、エンジンを切る。車の中から彼女がベンチに座っている後ろ姿を確認できた。夏の日差しはこんな朝早くても、すでに眩しく感じる。車を降り、サングラスをかけながらゆっくり公園の入り口に向かって歩く。


ベンチから立ち上がった彼女は、体の線が隠れるゆったりとしたワンピースを着て、つばの広い麦わら帽子を被っている。


こちらに向かって俯きながら歩いている彼女。太陽の逆光が眩しくて、俺には気が付いていないようだ。


感情的になるな。
大丈夫だ。
彼女は戻ってくる。
必ず俺のところへ戻ってくる。


心の中で呪文のように唱え、徐々に彼女との距離が短くなっていく。ひと二人分の距離になった時、彼女は前から来る人(俺)に驚き、俯いたままぶつかりそうになったことを謝罪した。顔を上げた彼女はサングラスを取った俺を見て、大きく目を見張り、ヒュッと息をのんだ。次の瞬間、踵を返し逃げ出す葉子ちゃんに唖然とした。俺の方を振り返りながら走る彼女は、きっとその先の段差に気づいていないはず。


マズい!


そう思ったと同時に体が動き、バランスを崩して倒れそうになる彼女を抱きしめる……、お腹に負担がかからぬように。

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