ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜7
「そろそろいいかにゃ?」

 熊のモフモフを堪能した子猫は「アルデルンさん、顔を戻してください」と声をかけた。

「ああ」

 人間の顔に戻ったアルデルンは、自分の指で頬に触り「なんだろう、顔の奥底から温かいのだが」と不思議そうに呟いた。

「人の顔には表情筋という筋肉があるんです。この筋肉が、ストレスや寝不足、過度な緊張などの原因で固くなると、顔がこわばって上手に笑えなくなるんです」

「顔の筋肉が……なるほど。王都警備隊も、そこまではトレーニングしていないしな」

 ルディは頷いたが、顔まで筋トレするものはそうそういない。

「アルデルンさんも、アルデルンさんのお父さんも、笑顔が怖くなるのは熊の特性だからではなくて、真面目な性格のせいで顔の筋肉が硬くなってしまっているんじゃないかと思って、揉んでみました」

「なるほど、そうなのか」

 熊は「これは、自分の顔ではないように柔らかいな」と言いながら、顔全体を触って確認し、それからエリナがやったようにマッサージを始めた。

「……どうだ?」

 アルデルンは両手で顔をこねくり回してから、にまっと笑って見せた。

「これは……笑顔がいつもよりも怖くないぞ!」

 ルディは驚きの声をあげた。

「獲物に食らいつきそうな獰猛さが薄まっている……これなら子どもが見ても、ギリギリ泣かずに我慢できるかもしれない」

「ギリギリ泣かない……俺の笑顔って……」

 熊は改めて落ち込んでいた。
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