僕は彼女をこよなく愛している
そして、実家を出た二人。
実陽の手には、少し大きめの袋が下がっている。

霞月の服や、両親に持たされた果物やチーズケーキが入っている。

「………」
「………」

「………」
「………」

「るなちゃん?」

「何?」

「なんか、怒ってない?」

「別に」

「でも、なんか元気ないよ?」

「………」
霞月は、実陽を見上げた。

「ん?どーしたの?」
優しく微笑む、実陽。

どうして、こんな優しいの?

「私……」

「うん」

「実陽から解放されたい……」

「………」
「………」

「………」
「………」

「え…?
そ、それ…って……
わ、別れたいって…こと……?」

「は?」

「嫌だよ!!!
絶っっっ対!嫌!!!!」

「あ、違っ……」

「どうしてそんな事言うの!?
僕の何がいけなかったの!?
すぐに直すから!!
お願い!そんなこと言わないでよ!!」

「ちょっ…落ち着いてよ!!
違うから!」

「え……」

「安心して?
そんな気ないから」

「ほ、ほんと…?」

「うん」

「じゃあ、何なの?
“解放されたい”って」

「実陽のこと、好きだから」

「え?」

「最近、おかしいの…私」

「え?え?」

「一人が好きなのに、一人になると…実陽に会いたくなる。
それにずっと一緒だから、なんか…実陽に依存してる気がするし…
あと、実陽が私以外の人と楽しそうに話をしてるの見ると…ヤキモチ妬いて腹が立つ。
…………こんなの“私じゃない”」

「………」

「実陽が悪いんだよ?
実陽が、私から離れないから」

「………」
「………」

「………」

「なんか言ってよ」

「るなちゃん、早く帰ろ?」

「は?」

「一刻も早く帰って、るなちゃんを抱き締めたいんだ!
それで閉じ込めて、キスして、そのまま抱きたい!」

「……/////」

「ね?帰ろ?
ここじゃ…僕荷物持ってるし、外だし、人が来るかもだし、何も出来ない」

「うん…//////」

実陽は霞月の手を引き、足早に歩き出した。

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