僕は彼女をこよなく愛している
「俺は、こんなだから……
周りには色んな人達がいてくれた。
でも、最終的に傍にいてくれたのは母さんだけだ。
俺は、そんな母さんの真っ直ぐな想いにずっと気づけずにフラフラしてた。
実陽にも、沢山迷惑かけて……
ほんと、悪かった…!」

「………もう、いい…」

「え?」

「もういいよ。
父さんのこと、受け入れるから」

「ありがとな!
………でも、会ってみたいな、実陽の運命の人」

「だからさっきも言ったよね?
今度、るなちゃんを連れてくるって」

「その時、俺も会っていいのか?」

「いいよ。
るなちゃんもきっと、会いたがると思うから」

「そうか…!ありがとう、実陽!」

駅に着き、実陽が「父さん、番号教えて」と言った。
父親から携帯番号を聞き、登録する。

「父さん、ラ○ンしてんだ」

「あぁ。
会社の連絡は、全部これだからな」

へぇ~と言いながら、父親にメッセージを送った。
そして「じゃあね」と言って、改札に向かった。

父親のスマホに通知音が鳴る。
確認すると【俺の大事な彼女】というメッセージと、実陽と霞月のツーショット写真が送られてきた。

「フフ…
ほんと、綺麗な子だな……!
さすが俺の息子だ!(笑)」

それを見て父親は、ふわりと微笑んだ。


一方の霞月。

「――――ありがとう」
自宅マンション前で頭を下げる、霞月。

「あぁ!
じゃあな!」

「うん」

「………」
「………」

「………」
「………」

「え?入らねぇの?」

「うん、琢三くんが行ってから」

「ちゃんとマンション入るのを確認してから帰る」

「どうして?」

「この短い距離でも、さらわれることはある」

「いや、ないよ…さすがに(笑)」

「あ、笑った(笑)」

「だって、琢三くんが変なこと言うから」

「俺は心配してんの!」

「フフ…実陽みたい(笑)」

「……/////」
クスクス笑い出す霞月に、思わず見惚れる。
そして……無意識に、霞月の手を取っていた。

「え……琢三く―――――」
頬に触れる、琢三。

「………」

「え?え?琢三…く、ん?」

「…………また…」

「え?」

「また、お茶でもしようよ」

「実陽も一緒なら」

「………」

「………」

「……フッ…だよな(笑)」

そう言った琢三。
霞月に顔を近づけてきた。

咄嗟に顔を背けた、霞月。

「………だよな…」

琢三はポツリと言って「じゃあな〜」と、後ろ手にひらひらを手を振り去っていった。


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