あやめお嬢様はガンコ者

翌日は、いつものネイビーのセットアップに戻すと、由香里ちゃんは出社してくるなり「どうしてですかー！」と叫んだ。

「だってほら、この方がしっくりくるし。私も周りの人も」
「それは単なる慣れですよ。私セレクションの服の方がいいですって！」
「でもあと2パターンしかないし」
「それを組み合わせるんですよ！あとは、また週末買い出しに行きましょうよ」
「いえいえ、もう充分だから。ね？仕事しましょ！」

むーっと拗ねる由香里ちゃんをなだめて、私は仕事に戻る。
ふと顔を上げると、久瀬くんが何やら私を見ながら考え込んでいるようだった。

「久瀬くん？どうかしました？」
「え？あ、いえ。すみません」

そう言って久瀬くんはパソコンに向き直る。
なんだろう？と思いながら、私も仕事に戻った。