色恋沙汰はどこまでも


 「いやっ、別れたくない……っ、あなたと離れたくないの!」

 「幸せになってくれ。俺はお前の幸せを希う」

 「いやっ、そんなのいやよ!!」

 ── わたしは忘れられない恋をした。彼と共に生きたかった、幸せになりたかった。ただそれだけなのに──。好きになっちゃいけない、この恋に永遠なんてない。そんなこと、わかりきってたはずなのに、胸が張り裂けそうになった。

 もう二度と、叶わぬ恋──。

 『文房具に恋をした』

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 「美智瑠(みちる)、なにこの胸くそ悪い映画」

 「ええ~、よくなぁい?めっちゃ泣けるんだけどぉ」

 「は、はあ……」

 国が『学生のいじめや学力低下が深刻化なんちゃら~』とか言って、莫大な予算をかけて開発した擬人化文房具(スペシャルズ)。高校へ入学すると同時にひとり1つ所持するのが義務化されて、もう十数年経ってるらしい。正直興味無さすぎて。

 「禁断の恋してみたぁい」

 「はあ?そんなのやめときなよ、ダルいし。ていうか、その恋バナを聞かされるであろうこっちの身にもなってほしいわって話ね」

 「うわぁっ、それはヒドイって~。ま、凛子(りんこ)らしくてウケるけどぉ。でもさでもさ、期間限定の恋っていうのもアリじゃな~い?」

 「ナシ。めんどいし」
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