色恋沙汰はどこまでも

　私のことをジッと見て首を傾げてる。自己紹介とか適当に聞き流してたし、なんて名前かもわかんない。美智瑠に『そんなんだから友達できないんだって～』とか言われそうだな。ま、友達って多ければいいってもんでもないし、美智瑠がいれば十分だし。

　「噂には聞いてたが、もっとこう“THE！ヤンキー！”かと思ってんだけど、ただのクソ美女じゃん」

　「は、はあ……」

　「アタシ菊池桃花(きくちももか)。南中で番張ってた、よろしくな」

　あの不良しかいないような南中で番張ってたのが女子だったとは。ああ、そんな噂も聞いたことあったっけ。

　「ただの中学生してた羽柴凛子。これからもただの高校生、よろしく」

　「ギャハハ！なんっだそれ！喧嘩強くておもろいとか最高かよ！」

　「おいコラそこ～、うっさいぞ～」

　担任から注意されるわ、一部からは白い目で見られるわ、ほんっと勘弁してほしい。元凶(菊池桃花)はゲラゲラ笑いながら私の机をバシバシ叩く始末。あーーマジでやめてくんないかな、はっ倒して……っていやいや、この思考回路は捨てろ。

　「う～し、んじゃその辺に立っとけ～」

　そう言いながら後頭部をボリボリ掻いて教室を出た担任が押して運んできたのは、多種多様なシャーペンがズラリと並んだ机。