色恋沙汰はどこまでも

　適性検査って言葉だけ聞くと堅っ苦しいのを想像するだろうけど、選び方は至ってシンプルで、並べられたシャーペン(擬人化文房具)を握るだけ。で、メジャーメントウォッチが勝手に分析して適合率を……って仕組みらしい。

　擬人化文房具の登場でガヤガヤと一気に騒がしくなる教室内。

　「擬人化文房具のおかげで学力向上、いじめやいじめによる不登校が減少傾向にあるって前テレビで言ってたけど、どうなんだろ？」

　「要は相談役っつーか、心の支えにもなるってことだろ？」

　擬人化文房具＝家庭教師
　擬人化文房具＝心理カウンセラー

　この二役をこなしてるって感じ。

　そりゃ擬人化文房具を好きになっちゃうのも頷けるよね。だってツラい時に傍にいて、話を聞いてくれて、慰めてくれるんでしょ？ま、私には相談役なんて必要ないんだけど。

　「んじゃまあ、適当に選べ。適合率の合格ラインは８０％以上だからな～。まーず１００％なんざ出ることないから諦めろー。あとはもう好みの問題だ、好きにやれ～」

　みんな一斉に動き出してポツンと立ち尽くしていたのは、私と美智瑠と新藤君と菊池桃花、とオドオドした眼鏡男子だった。

　「今行ってもゆっくり選べないっしょ～。後でよくなぁい？」

　「そうだね」

　天才(美智瑠と新藤君)にはそもそも擬人化文房具なんて必要ないだろうし、『余り物には福がある』くらいに思ってるだろうな。