色恋沙汰はどこまでも


 「もうそろそろいいんじゃないかな?」

 擬人化文房具の周りに群がっていたクラスメイト達も徐々に捌けて、新藤君の一声で私達は適性検査を行うことに──。

 実際選べって言われると迷うもんだなぁ。片っ端から確認していくのもありだけど、こういうのって直感を信じたいよね。どうせなら勉強面しっかりサポートしてくれる擬人化文房具がほしい。

 これかな。

 普通のシャーペンというよりはちょっと高級感のあるかんじで、長さとか太さとか絶妙なバランスだし、ブラックとゴールドで統一されてて手ごろなサイズ感。いいかも、そう思いながらそのシャーペンに手を伸ばした時だった。

 「あ、羽柴ちゃんだっけ。それやめときなー」

 「え?」

 「それポンコツ」

 「誰が握っても適合率0%だぜ?」

 距離感計れない系男子達がグイグイ迫ってきて『こういうのダルい』って表情が露骨に出てる私。ていうか、適合率0%って……そんなことありえる?そんなの聞いたことないけど。いくら相性が悪くたってどの擬人化文房具でも最低適合率25%はあるって──。

 「つーか羽柴ちゃんすげぇ美人だね!」

 「カワ美人てきな?」

 「ねえ、俺とライク交換でもっ」

 「羽柴さん。それいいんじゃないかな、直感って大切だと思うよ?」

 グイグイ迫ってくる距離感計れない系男子達から私を救ってくれたのは、私の背後にピタッとくっついて、ひょこっと顔を覗かせてきた新藤君だった。
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