色恋沙汰はどこまでも
 「ありがとう、新藤君」

 背が高いから、必然的に少し見上げながらお礼を言う形になる。

 「いえいえ」

 爽やかに微笑んでスッと私から離れた新藤君に気まずそうな距離感計れない系男子達はそそくさ退散した。周りにいた女子達が『新藤君かっこいい』ってヒソヒソと盛り上がってて、苦笑いの新藤君に申し訳なさを感じつつ擬人化文房具に手を伸ばした。

 ── バチッ!!

 「痛っ」

 直感で選んだシャーペンに触れた瞬間ビリビリッと静電気が指先から体を伝い、今までに感じたことのない違和感を覚える。

 「ひっ!?は、羽柴さん!だっ、大丈夫ですか!?」

 私の隣にいた松坂君があたふたしながらズレ落ちる眼鏡を必死に上げてて、そんな姿が面白くて思わずクスッと笑ってしまった。

 「ただの静電気だよ、驚かせてごめんね?」

 「ハッ、これだからビビりはうざってぇー」

 とか言いつつ、あんたも結構ビビってたでしょ菊池桃花。

 「それにしてもエグい音としたよねぇ~、大丈夫?凛子~」

 とか言いつつ、私には見向きもしないでシャーペンを手当たり次第握ってる美智瑠。

 「うん、全然大丈夫」

 にしてもなんだったんだろう。拒絶反応てきなやつ?適合率0%だっていう話も信憑性増してきたな。これはやめとこって普通だったら思うはずなのに、どうしてかな。どうしてもこれがいいって思っちゃう。
< 30 / 135 >

この作品をシェア

pagetop