色恋沙汰はどこまでも
 「なに言ってんの。そんな特技も趣味もありませんけど」

 「隠す必要などありません。バレるのも時間の問題ですから」

 たしかにそうだけど、私は普通の学園生活を送りたいの!そのためにちょっと遠い彪ヶ丘選んだのに自らバラす馬鹿がどこにいんのよ、アホ日髙!あんた本当にSSSなの?

 「ていうか、好きで喧嘩してたわけじゃないし特技でも趣味でもない」

 「ええ、存じ上げております。凛子様は優しいお方です。自分の為ではなく、他の為に般若の形相でその拳を振りかざし、心の奥底では楽しんでいたこと、この僕がちゃんと知っております」

 いや、なんのフォローにもなってないし、楽しんでもない。ていうか、なんであんたがそんなこと知ってんの?気持ち悪い。

 「わかったような口利くのはやめて」

 「ええ、そうですね。凛子様は正義感の強いお方。弱気を助け強気を挫くがポリシーのっ」

 「いいかげんにしないとブッ壊すよ」
 
 「ハハッ、可愛らしいお方だ」

 優しい瞳で私を見下ろす日髙に調子が狂う。いや、優しい瞳というか私に『ブッ壊す』って言われて心底喜んでるようにしか見えないな。

 変態だから日髙なのか、日髙だから変態なのか──。

 どちらにしろ気持ち悪すぎて無理、ほんっとうに無理。ていうか、これ以上べらべら喋られたらたまったもんじゃない。釘刺しとくか、この変態野郎に。

 「ちょっと日髙、こっち来て」
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