色恋沙汰はどこまでも
 あー、ほんっと苦手だな……菊池桃花といい日髙聡といい、なんでこうも私を乱してくるかな。そういうのって今までになかったしそういうキャラでもないから勘弁してほしいんだけど。どちらかと言えば冷めてるほうの人間だと思って生きてきたから、なんか感情的になって『わーー!!』ってなるタイプじゃないの。キャラブレするからほんっとやめてほしい。

 「で、どうしてなのよ」
 「僕が“特別”だからです」
 「あっそ。もういいわ」

 うん、もう無駄でしかないなって悟った。これ以上なにを聞いたってふざけた答えしか返ってこないだろうし、日髙は唯一無二のSSSなわけであって、私の意思とは関係なく行動できちゃう時点で、もうどんな仕掛けがあってもおかしくはない。

 「これだけは言っておきます」
 「なによ」
 「何があっても僕が必ず凛子様をお助けします。ただそれだけです」
 「はあ……どうも」

 こういう時に限ってヘラヘラしないしニヤニヤもしない。妙に真剣な顔して、ただ真っ直ぐ前を向いて歩いてる。ほんと調子狂うからやめてほしい、もう根掘り葉掘り聞くのはやめよ。

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