(二)この世界ごと愛したい




どれくらい考え込んだのかは分からないけど、気付けば私はまた寝てしまって。



数日、朝稽古を続けて。


空き時間にアキトとサクの稽古。



さらに時間が空けば本を読んだり、トキの部屋で地図を眺めたりして過ごす。




この城のみんなは本当に温かい気さくな人ばかりで、私はのびのび過ごすことが出来ている。





そして今日も、朝稽古のために眠い身体を起こして。


着替えて支度も済ませて。



ハナちゃんにコーヒーをもらって、夢の世界から現実世界に引き戻してもらっています。





「リンちゃん今日もよろしくっす!」


「またご褒美お願いします!!!」


「今日は絶対ボール取りますっ!」




朝から隊士達は気合い充分のようで。




「うん、頑張ろうねー。」




まだまだ眠い私はふにゃっと笑うことしかできず。


それにも関わらず、顔を赤く染める彼等。




「…か、可愛いが爆発してる。」


「俺の胸に矢が刺さってる気がする!誰か抜いてくれー!!!」




朝から元気でいいけど。



…ちょっとうるさいかな。




けど、いつもうるさいアキトは私を気怠そうに起こした後に一人でふらっと先に行ってしまった。最近割とそんな感じだ。





「私もぼちぼち行こうかな…。」




稽古する広場へ行くと、相変わらず気怠そうなアキトと。


もう今か今かと修行を待ってる隊士達。




「あ!リンちゃん、はよっす!」


「サクおはよ。ここのみんなは朝から元気だねー。」


「昨日はハナちゃんに気合い入れてもらったんで!俺も頑張ります!!!」


「いいなー。私もハナちゃんに気合い入れてもらいたい。」




方法は知らんけど。



しっかり帯剣済みの私とアキトとサク。


手加減は勿論だけど、ボールも持つので必然的に私は剣一本。今日はどっちにしようかな。





「うーん。」


「どうしたあ?」


「アキト、右と左どっちが好き?」


「…左。」




じゃあるうの剣ですね。


左側の剣を抜く私を見て、アキトが聞いた。




「そういや右は?」


「右のはハルが昔に使ってた剣だよー。」


「鬼人の剣!?お前は贅沢だな!?」




朝は怠そうにしてたアキトだけど、もうすっかり通常運転。



< 113 / 1,120 >

この作品をシェア

pagetop