(二)この世界ごと愛したい
「言いましたー。別に事実だろうからいいんだけどさ。」
「…別に可愛くないとは言いませんけど。」
「いいのいいの。可愛いと思われたいわけじゃないし。とりあえずそれ読み終わったら私も読みたいから、明日中に読んでね!」
「…はい。」
科学の本。
私も人のこと言えないけど、色んなことに興味がある人なんだなと思う。
将軍にならない道だってこの人にはきっとあったんだろうとまた思い悩んでしまう。
「…貴女に言われなくても戦には関わってましたよ。家柄的に。」
「あー気を遣わせてごめん!落ち込むのやめる!」
「そこまで責任を感じる事じゃないです。」
「…謝って済む話でもないけど、ほんとにごめんね。」
勝手に落ち込んで、逆に気を遣わせて。
もう私最悪すぎる。
「…とりあえず明後日、アレンデールの少し北の方でいいなら送ってあげるね。」
「助かります。」
「ハルに助言しようとしてる戦、もし私のためならやめてね。」
「…トキがまた何か言いました?」
私のための戦かもしれないとトキが言っていました。
そんなこと私は決して望んでないし、私のせいでハルを危険に晒すなど言語道断。
「…もう私を想わないでって言ったでしょ。」
「……。」
「出来ることなら私のことなんて忘れてほしい。もうあんな昔のこと考えてほしくない。」
もう自由に過ごしてほしい。
心の赴くまま、興味のあることに手を伸ばして。幸せに暮らしてほしい。
…手遅れなくらい偉大になってしまった人だけど。
「イライラする。」