(二)この世界ごと愛したい



レンが的確に処置を施す様子を、当人のマサとアキトが眺めていた。




「んで?国境侵攻し損ねた罰かあ?」


「いや、罰は罰だがこれは違う。」


「…リンか?」


「…貴殿はリンの味方か?」




アキトの城に私がいた。


そのことを知っているが、念のためにマサはアキトに質問を投げる。




「お前より遥かに味方だ。」


「…そうか。であればリンを必ず守ってくれ。時期リンを追う追手が放たれる。拙者が罰を受けたのは…リンを逃した罪故だ。」


「っお前、それリンに話したのか!?」


「話した。逃げろと伝えた。だが、リンは首を縦には振らなかった。自分には安全な場所はないと。」





レンの手も、思わず止まる。


アキトはまた更に焦りが募る。





「…追手が放たれるまでには少し時間がかかる。それもリンに伝えてある。」


「ちっ。ソルに気を付けろってシオンが言ってたのはこれか。」


「…主は、リンを手に入れるためなら手段を厭わぬ。拙者も国に戻り次第動向を探る。」


「お前が信用に足るかの方が俺は疑問だ。」




時間がかかると聞いて僅かに緊迫の糸が解れる。


そんな中でアキトがマサに逆に疑問をぶつけるが、マサは自嘲気味に笑う。







「…今伝えたことには嘘はないが、決して信用はするな。」


「…そうかよ。」




忍とは、如何なる時でも主のために動くもの。


己の意思とは無関係に。非常な程の冷徹さがなければ生きていけない世界。






「リン…。」


「心配すんなレン。あのリンだぞ、簡単に捕まるわけねえだろ。」


「…せっかく、国に帰ってお兄さんに会えたのに。リンはどうして平和に暮らせないんだろう。」





私の安寧を願うレン。


私の道を応援してくれているアキト。



相対する二人の想い。





< 325 / 1,120 >

この作品をシェア

pagetop