(二)この世界ごと愛したい




斬り落とすと言ったシオンはちゃっかり帯剣してて、剣持ってるけど。


隊士の皆さんはご飯食べてるだけなので丸腰。



このままではシオンの独壇場。





「大体シオンさんはリンちゃんの何なんだよ!馴れ馴れしいのはそっちだろ!?」


「お前に話す価値を感じない。言っとくけど俺、やるなら本気で殺す。」


「っ!!!」




剣に手を掛けたシオン。


私は反射的にシオンの前に立ち、その手の上に自分の手を添える。




「…ごめん。」


「…何が。」


「なんとなく。」


「何となくで謝んな。」




故意か無意識かは定かではないが、これでシオンの殺気が和らぐのは分かった。




「…私が場の空気乱しちゃったね。」


「あんたどこまで人に気回すつもりなわけ。」


「だから自分で解決します。」


「は?」




シオンの殺気が消え去っても、隊士の皆さんの闘志は健在。


アキトとトキに失礼な言動をしたシオンが許せないのは分かります。けど、シオンをそうさせてしまったのは私なので。






「みんなで隠れんぼしよう。」



「「「え?」」」





「私を見つけられた人と、今日は寝ることにするよ。」





華麗な微笑みを浮かべて…と言いたいところだけど。たぶんお酒が入ってるのでふにゃっとしか笑えなかった。



それでも、隊士たちの闘志が一気にこちらに向いた。





「じゃあ五分経ったら探しに来てね。シオンも参加していいよ。」




私はお腹も満たされたし、お酒も良い感じに飲めたので満足して広間を出る。



残された方々の心境は知らないが、私はとりあえず隠れんぼのため身を隠すことにしました。





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