(二)この世界ごと愛したい
私が一先ず身を隠したのはトキの部屋。
この部屋には誰も安易に入らないだろうと踏んでの考え。
勝手に入ってごめんという申し訳なさはありつつも、とりあえず見つかりそうになったら屋根裏に入り込もうと本格的なことまで考えています。
「おい!トキさんの部屋確認したか!?」
「いやまだだ!勝手に入ったのトキさんにバレたら飯抜き確定だぞ!?」
め、飯抜き!?
これは私も一大事だ。トキにバレる前にさっさと屋根裏に逃げ込もう。
私は器用に炎を操り屋根裏の板を押し除け、ふわりと身体を浮かせ無事に屋根裏に上がる。
「けほっ…。」
流石に埃っぽい。
この暗がりも私には関係ないんです。
ポッと人差し指に炎を灯して周囲を照らす。この屋根裏結構広く展開されていて、トキの部屋にある階なら網羅出来そうなほど。
「見つかったか!?」
「いねえ!アキトさんの部屋誰か見て来たか!?」
「アキトさんの部屋もトキさんの部屋もいなかったぜ!」
そんな声が下から聞こえて来て、危なかったとホッと一息。
飯抜き覚悟でトキの部屋を覗いた勇者がいたんだな。
「…さて、どうしようかな。」
若干お酒でふわふわしてる感は否めない。
それでも見つかりたくもない。
この隠れんぼは、そもそも誰にも見つかるわけにはいかない隠れんぼです。
…私は一人で寝たいんです。
「シオン、本当は優しいのになー。」
未確認だけどハル不在の窮地のアレンデールに助力してくれた。
私の怪我を気遣って守ってくれた。
雨に濡れたら風邪を引かないように自分の服を貸してくれた。