(二)この世界ごと愛したい
追手が来ることが分かっていても。
私が策を講じないのは、追手が来る前にここを離れることを決めているから。
この城に迷惑は絶対に掛けられない。
「…軍じゃないみたいだから、私だけに標的を定めた追手なんだと思う。私さえいなければ大丈夫だよ。」
「リンまさか引き付けて行く気?」
「…いや?」
「バレバレだよ?」
くそ!トキ鋭い!!!
だって隠密興味あるんだもん!!!
「危ねえことばっか考えやがって。」
「うっ…だって…。気になるし。ちょこっと手合わせ出来たら嬉しいなー…とか。」
「人数分かんねえの無謀すぎる。ダメだ。」
「分かったよ。大人しく逃げるだけにするよ。」
「本当かあ?」
「ほんとほんと。」
逃げ足のスピード調整して、一人くらい捕まえても問題ないだろうか。
私も色々聞きたいことあるんだよねー。
「…とりあえずここにいる間は警戒は怠らないように気を付けるから。ちょっと稽古も大急ぎでやるねー。」
「ここを早めに離れるって?」
「アキトごめん。でも、ここで迎え撃つのはあんまり得策じゃないの。」
隊士の誰かを人質にされたら、いよいよ私は捕まるしかなくなってしまう。
「…面白くねえ。」
「でも何があってもお祭りは絶対行く!」
そのために遊ぶ時間も惜しんで頑張ってるんですもん。絶対海見てお祭り行きたい。
私のお祭りタイムを邪魔するならそんな追手は燃やします。
「…あー魂祭嫌だ。」
「トキそんなこと言わないでよー!絶対楽しいよー!」
「…人多いし。あの街まだ調教しきれてないから女共がうるさいし。」
「ちょ、調教…?」
トキは女の人が嫌すぎて街を調教して回ってるんですか!?
そんなに嫌だったの!?