(二)この世界ごと愛したい
「事情も知らずに誘ってごめん…。」
私は肩を落として謝る。
無理強いは良くなかったのかもしれない。トキと海に行きたいと言うのは本当だったけど、そんなに嫌なところに連れて行ってもトキは喜ばない。
…寧ろ私だけしか楽しくないのかも。
「…その顔はずるいって。」
「え?」
「ここで行かないとアキトとシオンに怒られんの俺じゃん。」
トキは嫌々ですが行ってくれるっぽい。
アキトとシオンに怒られるのが本当かは分からないけども、やっぱりお祭りは行きたいです。
「っていうか追手のこと。そんな大事なこと隠してたことが問題だよね。どうしてあげようかな。」
「…え…いや、それは…話すつもりだったよ?」
「また嘘ついた。リン悪い子だね。」
「と、トキ。落ち着こう?そもそも私で解決出来ることだし話しても心配かけるだけだと思って…?」
「その判断下すの俺なんだよね。」
この兄弟、やっぱ似てるな。
絶対的主導権を握ってるっぽいあたりが特に。
「…ごめんなさい。」
「謝って済む話じゃないし。ここは一つ、リンの秘密を暴くとしようかな。」
また秘密暴露の危機!!!
「…私の秘密って、トキは一体何がそんなに気になってるの?」
「うーん。色々あるけど一つに絞るなら…。」
怖い。
私にだって聞かれても答えられないこともある。どんな質問がくるのか怖い!!!
「リンの炎の力について…とか。」
…なるほど?
「今更だけどさ、すごく特異な能力じゃん。その根源とかルーツとか限界とか知りたい。」
「…うーん。」
誰だって気になるんだろうけど。
そもそもアレンデール王位継承者にしか本来伝えられないこと。それを私が話すのってどうなの。
「…アレンデールの極秘中の極秘案件なんだよね。パパはもういないから、詳しいこと知ってるのはハルと私だけ、なの。」
「うわー。余計興味あるなー。」
「うっ…。」
諦めてほしくて言ってるのに。
でもるうにはざっくり話しちゃったか。ハルがママ達にそんなに詳細話してなかったから、私も話しにくい。
「…ハルに聞いてほしい。」
「アレンデールの王子なんて早々お目にかかれないよ。」