(二)この世界ごと愛したい



少しだけ、怖いような気もした。


さっきの暗闇が、まるで私を飲み込んでしまうんじゃないかと思えて。




「…何で剣握ってるん。」


「へ?」



それは無意識だった。


無意識のうちに、恐怖を感じた私は剣に手を伸ばしていたことに今気付いた。




「…嫌なら言いや。」


「…っ!」



そっと私を抱きしめたおーちゃん。


驚いたのは勿論のこと、どこか安心したのも事実で。私はようやく剣から手を離した。




「おーちゃ…ん?」


「怖かったんやろ?」


「こ、怖くない!」


「あーそうかそうか。」



強がった私の頭をそのままぽんぽんと撫でる。




「お嬢も可愛いとこあったんやな。」


「だから怖くないって!可愛くもない!」


「やっぱお嬢の方が子供やん。」



あなたに言われたくありませんけど!!!


けど年上だし助けに来てもらった手前、何も言えないのが悔しい。




「…私大丈夫だからカイのとこ行こ。」


「ん。」



私から身体を離したおーちゃんは、私の顔を見て呆れる。




「…どこに照れてんねん。」


「てっ、照れてません!!!」


「じゃあ何やねん。」



若干だけ赤くなった顔。


その理由を聞かれるけど私にも分かりません!!!



不意に抱きしめられたことも、可愛いと言われたことも、少しだけ怖かったことがバレてしまったことも。


心当たりはあってもどれか分かりません!!!





< 523 / 1,120 >

この作品をシェア

pagetop