(二)この世界ごと愛したい
「…エゼルタの軍総司令について教えてほしい。」
「…今?」
甘い空気を作りたくない私が、今回は機転を利かせて真面目な質問をぶつける。
「今。」
「…前にも言いましたけど、貴女は知らなくて良いです。」
「シオンが話してくれないならカイに聞くけど。」
「…それも厄介だな。」
昨日の軍。
あれはユイ姫直下の軍だと言っていたが、戦についての知識が浅いらしいユイ姫の独断とは思えないし。
シオンが総司令を止めようとしたって言ってたから、あの軍は総司令監修の元、私に放たれた。
そして今。
再びここへ舞い戻ろうとしている気配がある。
「一言で言うなら食えない男。」
「…シオンが言うならよっぽどだねー。」
「貶してます?」
「私にシオンが貶せると思う?」
そんなに尊敬してるのに?
シオンを見てこんなに頑張って来たのに?
抱き締められたままだけど、私は身体を反転させてシオンに向き直る。
「シオンは私の目標なの。」
「…。(良くこの状態でそんなこと言えるな。)」
「だからそんなシオンの上官になる人、気になるんだよねー。」
シオンって無礼だし鬼畜だし、王族であるユイ姫にも臆さないらしいから。
そのシオンを仮にも従えている人。
「結構強い?」
「…昔は戦場にも足を運んでいたらしいですけど。今はほぼ文官に近いです。」
「…シオンより凄い?」
「さあ?」
一応確認してみた。
でも正直なところ、私は軍略においてシオン以上の人をまだ見たことがないので。
この質問の答えは私の中では決まっている…はずだった。
「…ただあの人は一応、俺の師でもあります。」
「っ!?!?」
これは、とんだ大物ではないか。