(二)この世界ごと愛したい



まだ許してくれていないらしいトキ。


その発言を聞いて、一目散に兵を退却させることを決めたのはこの軍の将軍であるアキト。




「勝手に退却させないでよ?リンに会いたくないの?」


「馬鹿。リンがいるのは壁の向こうだ。このままお前が折れるまでリンは無茶すんだろうが。」


「そこを掻っ攫えばいいじゃん。」


「向こうの兵に何されるか分かんねえだろうが!危険に晒すくらいなら俺は会わねえ!」



…とは言いつつ。


聳え立つ炎の壁を見つめて、私の姿を思い浮かべてしまうアキト。


しかし私を想うが故にここは堪える。



いつものニヒルな笑みで。


全軍撤退を決めたアキト軍は城への帰路を辿る。





「アキトー、行かないの?」


「俺は最後追い掛ける。先に行ってろ。」


「…じゃあ俺も付き合う。サクー。帰るだけだから任せるよー。」



サクはいつまでも炎の壁を眺めるアキトと、それに付き合うトキを見て。




「トキさん!せっかく領土奪ったのにこのまま帰るんすか!?」


「奪った後のことは城の馬鹿共に任せるよ。後ろに隠れてるから。」


「あ、そうなんですね。隊長とリンちゃん会えるといいですね。」


「今回は残念だけど会えないよ。リンにその気が全くないからね。」



ただその方向を見つめるアキトにも聞こえるように、トキは敢えて言う。




「じゃあ俺、先導行ってきます。」


「うん。よろしくね。」



軍の先導のためサクが後ろに下がり。


アキトとトキはその場に留まる。会えなくても、意味はなくても。それでも無事を確認せずにはいられない。




「…アキト、リンに会えない理由分かる?」


「…何となく。どうせ守ってるつもりなんだろ。俺等を。」


「うん。俺もそう思う。」



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