(二)この世界ごと愛したい
至って冷静に答えた私を、おーちゃんがふわっと抱きしめる。
「…ぬくめる。」
「っ、大丈夫だよっ!見た目より寒くないから!」
「あれやねん。なんかもう…直視出来ひんレベルでお嬢が綺麗すぎて…。着くまで我慢しといて。」
き、綺麗だなんて…。
あまり言われ慣れてないんだけども。嫌な気はしない。寧ろ…。
「〜っ…恐縮です…。」
そんな褒めてもらっても、何も出ませんが。
そうこうしてる間に酒場に到着し、もう遅いのにこんな時には馬車から私を降ろすために手を下から手を差し出してくれるおーちゃん。
「……。」
「…どした?」
変な心配を掛けてるので、その手を取ってさっさと降りることにした。
「お城の中でもこうして貰えると思ってたんだけどねー。」
「…あ。」
「ま、私の日頃の行いだね。次はよろしくー。」
「次て…またこんな格好するんか!?」
そりゃあ普段着で行けるような場所じゃないし。
一週間後にまたお返事を聞く時も、それなりの格好はするだろう。
「たぶん?」
「…俺もう正気でおれるか怪しいで。」
ボソッと何か怖いことを言ってるおーちゃんを放置して、御者さんにお礼を伝え。
ようやくお店に帰って参りました。
「ただいまー。」
「あ。」
私が戻るとすぐに声を漏らしたカイ。
そして、そんなカイとお話中のお客様が私を見て目を丸くする。
「…姫、様。」
アレンデールのパパの側近。
今は主にハルのお仕事のサポートをしてる…と言いたいが、たぶんほとんど丸投げされている。重役中の重役だ。
そう言えば得意先だって前に言ってたな。
「あー久しぶり?」
「姫様…本物か…?」
「偽物でも出て来るような時代になっちゃった?」
怒られるかもしれないと無駄に茶化した私だが、そんなことを気にすることなく床にベターっと座り込み頭を下げる。
「まずはご無事で何より。お久しぶりでございます、姫様。」
「そう言うのいいってー。私ちょっと用思い出したから、お邪魔しましたー。」
すると立ち上がり、早くもこの場から逃げようとする私の前を素早く塞ぐ。
「お待ちください姫様。城を離れてからと言うもの、耳に入るのは姫様の危険な振る舞いばかり。危険なことはされないようにと昔からあんなにあんなにあんなに!申し上げておりましたのに。少しは行動をお控えください。」