(二)この世界ごと愛したい
るうとシオンは、二人とも普通にしてたら大人しくしていそうなものだけど。
ハルと違ってるうは空気読めるし、よっぽどがない限りキレたりしない。よっぽどの時は確かに怖いけども。
「ヤバいと思ったらリンだけでも逃がせよ。」
「アイツが黙って逃げるわけねえだろ。」
「…やっぱり心配すぎる。代わってくれ。」
「代わらねえし。ヤバい事態にならねえようにするのが俺の仕事だ。」
心配性なハルだが。
心の奥ではるうのことを信頼しているのも分かっている。そんなるうの目を見て、代わってはもらえないことを悟り項垂れた。
「…リン泣かすなよ。」
「泣かさねえよ。」
私が泣くと、ハルもるうも一緒に泣きたくなる程辛い思いをするらしい。
だから、私を泣かすなと言う言葉の裏には。素直じゃないハルからの、るうも気を付けてと言う意味が込められている。
「…あれ?二人とも早いねー?」
私がお風呂から上がると、ハルとるうは自然と私に目を向ける。
「…何か色っぽいのは何故だ。」
「…風呂浸かり過ぎてあれだろ。顔赤えから。」
二人の顔はこちらに向いているのに、ヒソヒソと小声で話すもので聞こえない。
「…リン、お前外で誰とナニした。」
「え?外で…?」
「邪な奴に手出されたりしてねえだろうな?」
「っ〜…。」
心当たりが多過ぎてすみません!!!
「どこの命知らずだ。」
「…だ、大丈夫。私気を付ける。」
「外の男なんてそんなゴミばっかだから嫌なんだよ。だから捨てろって言ってんのに。」
「いや…私も日々対策を学んで、ます。自己防衛への思慮が足りてなくて…ごめんなさい。」